15日目ストーリー

最終更新：2024/01/01 00:01:44 コメント(0)

イーデン　ふあぁ、まだ暗いな。早起きしすぎたかな?まだ星が見えてる。明け方に星を眺めるのって、本当に気持ちいいな…ここに来る前は、こうして星を眺めるなんて、夢にも思わなかったのに…って…?あの木の辺りに誰かいる? あれは… ソフィア?こんな時間に一人で何してるんだろ?ソフィア! ソフィアですよね?
ソフィア　あっ、イーデン。おはようございます。今日は早いんですね。
イーデン　こんな時間に何してたんですか?
ソフィア　早く目が覚めたのに、また寝付けなくて、ちょっと外の空気を吸いに。
イーデン　ボクもです。キャンプに人が増えたからか、何かそわそわしますね。リアムと別れてずっと一人だったから、まだ慣れてないみたいです。アハハ…
ソフィア　きっと寂しい思いをしてきたんでしょうね。
イーデン　アハハ…
ソフィア　……私は、研究員として『アダムプロジェクト』に携わっていました。
イーデン　アダム… プロジェクト?
ソフィア　政府主導のプロジェクトです。世界をここのように住みよくするための計画でした。
イーデン　素晴らしいですね! ソフィアらしいお仕事だと思います。
ソフィア　そんなことありませんよ。私はプロジェクト失敗の責任を負って、研究所を離れたんですから。
イーデン　失敗の責任を…!? ソフィアのせいで失敗したってことですか?
ソフィア　……
イーデン　無理して言わなくて大丈夫です。
ソフィア　いいえ。全部とまではいきませんが、話しましょう。今は、誰かに話したい気分です。
イーデン　ありがとう、ソフィア。実は、すごく気になっていたんです。
ソフィア　プロジェクトの詳細は言えませんが、そのせいで地球に大きな問題が生じてしまったんです。
イーデン　地球って……何かすごいプロジェクトだったんですね!
ソフィア　最初はみんな、前向きに取り組んでいました。しかし、結果が芳しくなくて、責任を取る者が必要になって……
イーデン　その責任をソフィアに押し付けたってことですか?
ソフィア　私が収監されたら、ジョイは一人になってしまう。多分施設送りになっていたでしょう。
イーデン　ジョイのお父さんは?
ソフィア　彼は、私に責任を押し付けた者たちの一人です。あの後、逃げるように海外へ出て行きました。
イーデン　なんて無責任な! それはあんまりですよ!
ソフィア　ジョイには内緒ですよ。あの子は、未だに父親のことが好きですから。
イーデン　はあ……わかりました。
ソフィア　結局、私もジョイを連れてこっそり逃げ出しました。ジョイは私がいないと生きていけませんから。
イーデン　本当に苦労されたんですね。
ソフィア　ええ… だから今も心配が絶えません。
イーデン　心配?ボクでよければ相談に乗りますよ。遠慮なく言ってみてください。
ソフィア　これだけ苦労してきたのに、ジョイの未来は未だ暗いように思えて…
イーデン　ジョイが夜中、咳き込んだりしてたんですか? ボクは寝ていたから聞いてなくて。
ソフィア　いいえ、そういうわけでは… ただ、言ったでしょう? ミゲルとジョイは、同じ病気かもって。
イーデン　あ……
ソフィア　もしジョイもミゲルのように、一生病気が治らなかったらと思うと私、怖くて…
イーデン　心配しないで、ソフィア。ジョイはきっと治ります。ほら、ここのキャンプだってそう。毎日が奇跡じゃないですか。ジョイを治す方法だって、きっと見つかります。一緒に探しましょうソフィア。
ソフィア　……ありがとう、イーデン。
イーデン　…さて!もう夜が明けてきてます。キャンプに戻りましょう?
ソフィア　ええ。
イーデン　わぁ! みんなもう起きてたんですね。こんなに早くどうしたんですか?
シード　ワン! ワン!
イーデン　わかってるよ、シード。キミが一番早起きだったんだろ?
ジョイ　ジョイも早起き…
ソフィア　まだ寝ていてもよかったのに。どうしたの? 寝付けなかった?
ジョイ　ママがいない間… シードが入ってきて、ジョイの顔、舐めたの。
シード　ワン！
イーデン　もうそんなことしないでよね、シード。ジョイはまだ十分に寝ないといけない年なんだから。
シード　クゥ～ン…
ジョイ　椅子に車がついてる。ふしぎぃ~
ミゲル　これは、車椅子と言うんじゃ。座ってみるかね?
ジョイ　うん! ジョイも座る!
ヘナ　ちょ、ちょっと! ミゲルさん、わたしが支えますから! 一人で立ち上がったりしないでください。
ソフィア　ジョイ。ミゲルさんの病気が治ってからにしましょう。今ミゲルさんを立たせるのはよくないわ。
ジョイ　うん~わかった! それじゃ、車椅子…触ってみてもいい?
ミゲル　もち… コホッ、コホッ! もちろんじゃ。手をケガせんように、わしがしっかりと車輪を掴んでおこう。
ジョイ　ありがとう、おじいちゃん。
イーデン　ジョイとミゲルさんはすっかり仲良しですね。
ソフィア　みたいですね。老人と子供はすぐ仲良くなるって本当だったんですね。
ジョイ　おじいちゃん! コッコのこと、紹介してあげる。
ミゲル　コッコ…? ああ。その子の名前がコッコか。

ジョイ　うん! コッコは何でもよく食べるんだよ。見て、ジョイがコッコにあげてるエサなの。
ミゲル　雑草のようじゃが… 草を食べるニワトリは、農場でも珍しかったのじゃが、コッコはきっと特別なんじゃろう。
ジョイ　うん! コッコは特別なの!
ミゲル　しかし、その草のうち何本かは捨てた方がいいな。それを食べると腹を壊すはずじゃ。
ジョイ　ホント？
ミゲル　ベタついていたり、虫に食われた跡がある草では、食べ頃が過ぎとるんじゃ。今わしが捨てろと言った草からは桃の匂いがするはずじゃ。そのような草は決して食べてはならん。
イーデン　わっ! ジョイ… 毒草を持ってたの?
ジョイ　知らなかったの、すぐ捨てるね。
ミゲル　もう一つ教えてやろう。草を拾ったら、まず周りの大人に渡して、脇の辺りをこすってみてもらうんじゃ。もし痒くなったら捨てなければならんからな。
ジョイ　ジョイがやったらダメなの?
ミゲル　君は子供じゃから肌が弱い。腫れてしまうかもしれん。だから大人にやってもらうんじゃ。
ジョイ　わかった、そうするね。
ソフィア　(ミゲルさんはジョイにいい影響を与えそうね。スマートやハンマーと違って、あの人たちはキャンプに残ってもらった方が良さそう）
ソフィア　イーデン。キャンプに人が増えすぎて、生活空間が足りなくなってきましたね。
イーデン　はい?そ、そうですね…で、でも…(まさか… あの人たちを追い出そうと言うんじゃないよね?)
ソフィア　ずっと外で寝てもらうわけにも行かないから、いっそ、寝床を用意しませんか?
イーデン　ええええっ！
ソフィア　何をそんなに驚いてるんですか?
イーデン　あっ、いいえ! それ、いいですね! すぐに取りかかりましょう!
ソフィア　別に、そう急がなくても…
イーデン　ほら、善は急げと言いますし!さっそく目ぼしい場所を掃除しておきますね!きれいになりましたね!このコンテナなら、きっと過ごしやすいと思います。
ヘナ　ほ、本当にわたしたちの寝床を用意していただけるんですか…?
イーデン　はい!これはソフィアの提案なんですよ。
スマート　何ですって? それ本当?
イーデン　はい、ソフィアだって、こちらのみなさんを迎え入れたいと。
ソフィア　イーデン、もう少しコンテナの手入れをする必要がありますね。
スマート　寝床だなんて、扱い違いすぎない? こっちは毒しかもらってないのに。
ソフィア　手伝う気がないなら、あっち行ってなさい!
イーデン　さ、早速始めましょう! 壊れたドアの代わりにカーテンが良さそうですね。ハンマーさん、手を貸してください!
ハンマー　承知した。
ソフィア　いつか使えるかもって、洗っておいた布ですが、ドアの代わりになるとは。
ヘナ　す、素敵です!
イーデン　ハンマーさんのおかげで、ハシゴもがっちり固定できました。
ハンマー　設置はしたものの、なぜハシゴが必要なのか分からんな。
イーデン　スペースの有効活用ですよ。アンテナも設置して、上で休めるようにしたいんです。放っておくと寂しいでしょう?
ミゲル　どんな風に仕上がるか、楽し… ゴホッ、ゴホッ!楽しみじゃのう。
イーデン　はい、ミゲルさん。楽しみにしていてくださいね!
トム　結構サマになってるじゃないか。あれなら日光浴だってできそうだな。
スマート　皮膚病で死にたいんだったら、どうぞご自由に。今の紫外線は昔とは違うのよ。
トム　冗談だって。オレは医者だ。知らないわけないだろ?忘れたのか?
イーデン　ううん、これで十分でしょうか?
ハンマー　ドアの上を覆う屋根も必要だろう。今のままだと、大雨や砂嵐が来たらひとたまりもない。
イーデン　確かに! せっかくだし大き目に作って、休憩場所にしちゃいましょう!
スマート　何かを作るときのあなたって、いつも生き生きしてるね。
イーデン　アハハ。だって、楽しいじゃないですか。しかも、キャンプの新しい仲間の寝床ですし!
イーデン　うわぁ、ハンマーさんはいつも手際がいいですね! 大工仕事って、本当にただの趣味だったんですか?
ハンマー　趣味だ。仕事だったら飽きてしまっただろう。こいつは楽しく作らせてもらった。
ヘナ　す、素敵です! これからここで住めるなんて、夢みたいです。
トム　作ってもらったついでに、もう一つ頼んでもいいか?
イーデン　はい、何でしょう?
トム　さっき、向こうで気持ち良さそうなクッションを見かけたんだが…それをここの屋根の上に置きたくてな。
スマート　何て厚かましいやつなの?
イーデン　大丈夫です、スマートさん!いいアイデアだと思います。せっかくだし他にも色々置いてみましょう!みなさん、どうですか? 鉢植えも置いたおかげですっかりお家らしくなりましたよね?

スマート　このキャンプの寝床の中でも一番豪華ね。あなたやジョイのところよりも。
イーデン　悪く思わないでください。後で他のところもリフォームしますから、アハハ。
ソフィア　これなら十分でしょうね。ところで… ジョイを見かけませんでした?
イーデン　ジョイならシードと遊んでいるはずですよ。ジョイをしっかり守るように、ボクが言いつけておきました。
ミゲル　だとしても… コホッ!あまり長く放っておいてはいかん。まだ子供じゃろ?
イーデン　そうですね。新しい寝床もできましたし、ジョイのところに行ってみます。
シード　ワン！ワン！
イーデン　えっ?どこからかシードの吠える音が聞こえませんか?
ジョイ　ママ~!ハンマー~! イーデ~ン!
ソフィア　向こうから来てますね。最近ブラブラしすぎですし、きちんと叱っておかないと。
イーデン　ボクより先にハンマーさんの名前を呼ぶなんてちょっと寂しいような… アハハ…
ジョイ　早く来て! あっちにすごいところがあるの!
イーデン　ジョイが何か見つけたみたいですね?
ソフィア　ジョイ!またどこへ行くの?
ジョイ　早く、早く！
シード　ワンワン！
イーデン　とりあえず追いかけてみましょう、ソフィア。
ソフィア　ジョイ! 転んだら危ないわよ。ゆっくり歩きなさい!

シード　ワン！ワン！
ソフィア　以前は再生不可能な不毛の地でしたが、私たちのキャンプの影響で地質が変化したようですね。
ジョイ　これから、ここで遊んでもいい?
イーデン　まだダメだよ、ジョイ。まずは、ケガしないように辺りを片付けなきゃ。片付ければ片付けるほど、ここが気に入ってきました。二人とも本当に素敵な場所を見つけたんだね。
シード　ワン！
ジョイ　えへへ。
ソフィア　でも、ジョイはキャンプに帰ってなさい。まだゴミが多いから、ケガをするかもしれないわ。
ジョイ　うう~ん、ジョイ、まだここにいたいんだけど…..
ハンマー　帰って待ってろ、掃除が済んだら呼びに行くから。
ジョイ　うん、わかった。
ソフィア　(私よりも、ハンマーの言うことを聞くなんて。略奪者と仲良くなりすぎてるわ)
シード　ワン！ワン！ワン！
イーデン　シード! 暴れちゃダメだよ。キミもジョイと一緒にキャンプで待ってて。
シード　ワン！
イーデン　あっ!シード、危ないよ!
シード　クゥゥン!キャン!
イーデン　うああっ! ソフィア、ハンマー! シードがケガしちゃいました!
ソフィア　ひどいケガですね。早くキャンプに連れ帰りましょう。
シード　クゥゥン…
ハンマー　俺が抱えて行こう。
イーデン　もう少しの辛抱だよ、シード。すぐ治療してあげるから。
シード　クゥン、クン…

イーデン　トムさん、シードの様子はどうですか?
トム　骨にヒビが入ってるが、幸い折れてはいない。消毒はしたから、これ以上危険なことにはならないはずだ。
イーデン　ありがとう、トムさん! あなたは世界一のお医者さんですね!
トム　言っておくが… オレは人を診る医者であって、獣医じゃないんだぞ。
スマート　つべこべうるさいやつね。今は獣医だって人間を治療する世の中なのよ。
トム　とにかく…治療は済んだが、傷口から感染を起こすかもしれない。引き続き様子をみよう。
イーデン　はい!ボクがしっかり介抱します。
スマート　介抱ならあなたよりも、プロに任せた方がいいんじゃなくて?
イーデン　はい?プロって?
スマート　ここにいるじゃない。ずっと介抱ばかりしてきたやつが。
イーデン　そうだ、ヘナさん。えっと…シードのこと、お願いしてもいいでしょうか?
ヘナ　わ、わたしですか? うう… 動物の介抱なんてしたことないのに…
シード　クゥゥン…
ヘナ　わかりました。わたしがこの子の面倒を見ます。
イーデン　ありがとう、ヘナさん。
ヘナ　ダ… ダメよ、シード。痛くても我慢して。舐めたり包帯を噛み千切ったりすると、治るものも治らないわ。
シード　クゥ〜ン…
ヘナ　そうそう、いい子ね~。あなた、本当に人の言うことがよくわかるのね。
イーデン　シードってば、ずっと尻尾を振ってますね。ヘナさんのことが気に入ったみたいです。
ヘナ　そ、そうなんですか? わたしにはよくわかりませんが。
イーデン　きっとそうですよ! ヘナさんは人だけじゃなく、動物の世話も上手なんですね。
ヘナ　そ、そうですか? ど、どうも…
ミゲル　… コホッ! 彼女の技量はわしが保証しよう。彼女は… コホッ! 最高の介抱人じゃ。
ヘナ　お、おだてないでください、ミゲルさん。
ミゲル　イーデン。ここに来て日の浅いわしじゃが …ゴホッ!言うのもなんじゃが…一つ提案をしてもいいかの?
イーデン　も、もちろんですよ、ミゲルさん。
ミゲル　ジョイが言うには…あの湖は、元々はなかったそうじゃが… ゴホッ!
イーデン　ええ。あの湖は大雨の後、突然できたものなんです。地中から泉のように湧いて出ました。
ミゲル　となると、この地面の下に、地下水が流れているということになるのう。
イーデン　地下水… ですか?
ミゲル　ここには木もおるし… コホッ! 畑だっておる ….この機に、水路を作ってみてはどうじゃね?
ミゲル　そうすれば、土は肥え、畑を耕しやすくなるはずじゃ。
イーデン　素敵なアイデアですね! キャンプの環境もより改善されるはずです!ハンマーさん! ハンマーさん! 手伝ってもらえますか? これから大仕事を始めるんです!
ハンマー　喜んで。まだ話が見えないが…水路か… 面白いことを思いついたな。
イーデン　ミゲルさんのアイデアです。でも、思ったより土がゆるいですね。夕方前に終わらせられるかも!
ハンマー　ひとまず掘り続けるが、ここに水が入ってくるかどうかは分からんぞ。
イーデン　それでも最後までやってみましょうハンマーさん。
トム　まったく、バカげた連中だぜ。お昼寝でもしてたほうが健康にいいだろうに。
スマート　手伝う気がないなら、せめて口を閉じてなさい。
トム　手伝ってるだろ? 怪我人が出ないか見張ってるんじゃないか。
スマート　掘ったついでに、あいつをここに埋めることはできないのかしら?
イーデン　アハハ。さて! もう少しだけ掘って、湖の近くの岩まで繋いでみましょう。
ハンマー　イーデン。これは… また奇跡を目にすることになりそうだ。
イーデン　ハンマーさん、どうしました? 何か見つけたんですか?
ハンマー　穴の底を見てみろ。水が染み出ている。
イーデン　うわ! 本当だ!このまま掘ったら、本当に水路ができそうですね。
ミゲル　にらんだ通り。湖と繋げれば、立派な水路になるはずじゃ。コホッ、コホッ。
イーデン　さあ!頑張りましょう! あと少しです!