16日目ストーリー

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  • ヘナ わ、わたし…寝ぼけてるのかな?木が昨日とは違う。たった一晩でこんなに延びるなんて。それに、葉っぱも実もすごくキレイ。子供の頃に見た植物みたいに濃い色をしてる。ホントに不思議。世界のありとあらゆる奇跡が、このキャンプに集まってきてるみたい。
  • トム ヘナ? 朝っぱらから何してるんだ?
  • ヘナ トム、木を見てたんです。ほら、生命が満ちあふれているようでしょう? 見ているだけで気分が和みますよ。
  • トム ヘナはこういうところが好きなのか。今度ブロポーズする場所を選ぶとき、参考にしなきゃな。
  • ヘナ 気分がへこみました。
  • トム そうツレないことを言わないでくれ。療養所にいた頃、オレがずっと君を見ていたことは知ってるだろ。
  • ヘナ ええ。知ってます。だから患者のほうを見てほしいって何度も言ったんですよ。
  • トム なぜそんなにツンツンするのかわからないな。オレは医者だぞ、ヘナ。こんな時代にはもっとも役に立つ男さ。
  • ヘナ やめてください。あなたと話す暇があったら、もう少し木を眺めていたいんです。
  • トム オしよりもこんな木ごときがいいってのか? ひどいじゃないか。こんな木なんかが… おや?ヘナ、見てくれ! この木… 昨日より大きくなってないか? 果物も美味しそうに実ってるぞ。
  • ヘナ 言ったでしょ。生命が満ちあふれているようだって。
  • トム 自然界のことは守備範囲外だが… この木を見てると、妙な気分がするな。
  • ソフィア 量はこれくらいでいいかしら?(心配ね。人数が増えたせいで、前より何倍もの食料が必要になってる。昨日植えたトウモロコシが、もう生えてくれて助かったわ。備蓄があるから当面は大丈夫だけど、すぐ減ってしまうはず…)
  • イーデン わぁ!美味しそうな匂い! もうこんなに用意してくれたんですか?
  • ソフィア いつもこの時間に料理をしていたでしょう?
  • イーデン 最近は毎日が楽しいんです! 大勢で集まって食事をしてると、キャンプが明るくなったような気がしますね。
  • ソフィア だいぶ騒がしくなりましたしね。
  • イーデン はい! 見てください! ジョイとシードも朝から元気に走り回ってます。
  • ソフィア イーデンは大勢の人と一緒にいるのが楽しいみたいですね。
  • イーデン もちろんですよ! ソフィアは楽しくないんですか?
  • ソフィア あは…ええ。私も楽しいです。(あんなに浮かれてるのに、興を削ぐのは気が引ける… 食料の問題については、あとで改めて話そう)
  • イーデン トウモロコシが育った! 食料倉庫が豊かになりそうだね! トウモロコシを早く収穫してみよう。
  • ヘナ ほ、ほんとうに… 何と表現すればいいかわかりません! ソフィアさんの料理は最高です!
  • トム それについては異議ナシだ。マジで美味いな。
  • ミゲル ここまで立派に成長したトウモロコシを… また味わうことができるとはのう。ゴホッ! ゴ ホッ!
  • イーデン 本当に美味しいです! ソフィアがボクらのキャンプにいてくれて… もう、感謝しかありませんよ!
  • ソフィア そう褒められるほどのことじゃありません。トウモロコシからして… 新鮮な素材のおかげですから。
  • ミゲル そう謙遜せんでもよかろう。新鮮な素材を使った料理は、わしも若い頃によく… ゴホッ、ゴホッ!… よく食べたから分かる。この美味しさは間違いなく調理人の腕のおかげじゃ。見事な晩餐会じゃのう。
  • ソフィア あ… ありがとうございます。
  • イーデン ソフィア! 顔が赤くなってますよ。
  • ソフィア イーデン、茶化さないでください。(大勢で食事を摂るのも、そう悪くないかもしれないわ。私もイーデンに感化されたのかしら?)
  • イーデン うわぁ!人数が多いと、洗い物も多くなりますね! みんなで片づけましょう!
  • ソフィア そうですね。私一人では骨が折れそうですから。
  • ジョイ ジョイも…?
  • シード ワン!ワン!
  • ヘナ ジョイはいいんだよ。ケガするかもしれないから、あっちで遊んでいようね。シードも!
  • シード クゥ~ン…
  • ジョイ ううん… わかった。
  • イーデン さてと! 急いで一気に終わらせましょう!
  • トム うう… どうしてもやらなきゃダメか? 貴重な医師であるオレが手にケガでもしたら…
  • ヘナ ちょっと、嫌われるようなことばかり言ってないで、さっさと手伝ってください、トム!
  • トム ちぇっ! わかった、わかったよ。
  • ジョイ ……
  • スマート ん?(ジョイ…遠くに行きすぎじゃないの?心配だ し、ついて行ってみようか?)
  • ジョイ きらきらひかる~おそらのほしよ~
  • スマート (どうしよう? ジョイ、みんなから離れすぎよ。あの子は私に懐いてないから、話しかけるのはちょっとね…。ハンマーを連れてくればよかった)
  • ジョイ 今度は、シードとコッコも連れてこようっと。
  • スマート 住宅街まで来ちゃうなんて…ここはまだ探索が終わってないのに。もう限界ね。キャンプに帰ろうと言うしかないわ。ジョイ!ジョイ!
  • ジョイ あ!
  • スマート 帰りましょう、ジョイ。ここはまだ何があるかわからない区域よ。
  • ジョイ うう~ん……もう少し行きたい。まだ見つけてないの。
  • スマート 何か探し物でもしてるの?
  • ジョイ ナイショよ。だからスマートはついて来ちゃダメ。
  • スマート そう?わかつたわ。(この子をどうやって連れ帰ろう? 子供の扱いは自信がないんだけど…)
  • ジョイ なんでついてくるの?さっきわかったと言ったよね。ついて来ないで。
  • スマート そうね。わかったわ。
  • ジョイ ……なんでずっとついてくるの!? スマートはジョ イのこといつもからかうから、一緒に行きたくないの!
  • スマート 大人は子供をからかってもいいのよ。それに、この先に用事があるだけで、あなたについて行ってるわけじゃないわ。
  • ジョイ ううう… じゃあ、先に行って。
  • スマート あら、どうしましょう。脚が疲れちゃったわ。ゆっくり進むしかなさそうね。
  • ジョイ ううううううう
  • スマート (まあ… 困ってる様子は可愛いのね。これからはほどほどにからかわなきゃ…)
  • ハンマー 全員集合!非常事態だ!
  • イーデン はい?何が起きたんですか?
  • ソフィア まさか… 略奪者が現れたの?
  • ハンマー 略奪者じゃないが、もっと危険なものかもし れん。砂嵐が迫ってきてる。非常にデカいぞ。
  • イーデン 何だか空が曇ってるとは思いましたけど… 急いで対処しましょう!
  • ヘナ わ、わたしも手伝いますね!
  • ミゲル ゴホッ、ゴホッ! わしは邪魔にならぬよう、先に戻っているとしよう。
  • トム オレがエスコートするぜ、じいさん。
  • ミゲル わしは一人でも大丈夫じゃ。君はみんなを手伝ってくれ。
  • トム むむう。
  • イーデン 整備が終わりました! みなさん、キャンピングカーやバンカーの中に入ってください!
  • ヘナ い、急いでください! 砂嵐がもうすぐそこに……!
  • ソフィア なんてこと!まるで世界を分断する壁のよう……!
  • ハンマー 急げ! 巻き込まれたら一巻の終わりだ!
  • イーデン ふあぁあぁ~!
  • ハンマー 幸い、大した被害は出てないな。あの短時間でよく対処できたものだ。
  • イーデン ハンマーさんのおかげです! 対処できたのは早く教えてもらえたからです。
  • ソフィア あの… ジョイを見ませんでしたか?
  • イーデン あれ?
  • ヘナ ジョ、ジョイがいない! ソフィアと一緒だとばかり思ってたんですが…
  • ソフィア 私はてっきり、そこに先に入ったのかと…
  • ヘナ わたしが退避した場所にもいませんでしたよ。
  • ソフィア ウソでしょ! ジョイ! 私の娘が…! どうしましょう!?
  • ハンマー そういえばスマートの姿も見当たらんな。まさか… 二人は逃げ遅れてしまったのか…?
  • ソフィア ジョイ! ジョイ! ジョイィィ!ジョイィィィィィ! どこにいるの? ジョイ! 返事をしなさい! お願い!
  • イーデン ソフィア! 落ち着いてください! まずは近くの他の場所に逃げてないか確かめましょう!
  • ソフィア ジョイィィィ!
  • ハンマー 皆で手分けしてこの当たりを隈なく捜そう。ジョイを見つけたら、大声を上げて教えてくれ!
  • イーデン わかりました、ハンマーさん!こっちにはいません!
  • ソフィア ジョイ! お願い… ジョイ! 答えて!
  • ヘナ ここにも見当たりません!
  • ハンマー こっちにもいないぞ! スマートも見当たらないということは、二人は一緒にいる可能性が 高い。
  • トム うう… ちびっ子め… 頼むから出てきてくれ。
  • シード クゥン~
  • イーデン 見つかりませんね。捜索範囲を広げましょう、ハンマーさん。発見したばかりの住宅街の方にも行ってみます!
  • ハンマー 承知した。
  • ソフィア ああああああ… ジョイィィ!
  • ジョイ ふえ~ん、スマート! ジョイ、こわいよぉ!
  • スマート 砂嵐は少し我慢すれば止むはずよ。しっかり掴まってなさい。
  • ジョイ ふええ~ん!
  • スマート (よりによって今、砂嵐が… 目を開けることもままならないわ….耐えよう! この子だけは、何としても無事にキャンプに返さなきゃ…)
  • ?? こっち!こっちへ!
  • スマート だ、誰?
  • ?? こっちへ急いで! そこにいたら、砂嵐に呑まれてしまう!
  • スマート (誰だかわからないけど、言う通りに従おう! ここにいたらジョイが危ない…!)
  • イーデン ジョイ!ジョイ!
  • シード クンクン… クン。
  • ハンマー スマート! 聞こえるなら返事をしろ!
  • シード ワン! ワンワン! ワン!
  • イーデン どうしたの? シード、何か見つけた?
  • シード ワン!
  • イーデン ハンマーさん! シードが何か見つけたみたいです!
  • ハンマー 急に走っていくところを見ると、確かに何か見つけたようだ。手がかりになるものだといいが…
  • ジョイ うええ~ん!シード~!
  • イーデン うわぁ! ハンマーさん! 見つけました! ジョイとスマートさんです!
  • スマート ここまで捜しに来てくれるなんてね。今キャンプに戻ろうとしていたところよ。ごめんなさい、イーデン。もう少し早く戻るつもりだったのだけど…
  • イーデン いいんですよ。砂嵐のせいで身動きが取れなかったんですよね?
  • ジョイ イ~デ~ン! ハンマー~!
  • ハンマー 無事でよかった、ジョイ。スマート… お前も無事で何よりだ。
  • イーデン ケガとかはしてないんですか?
  • スマート ええ。ある人たちに助けてもらって、無事に砂嵐を回避できたわ。
  • イーデン 助けてもらったですって?ここに誰がいるんですか?
  • スマート わからないわ。隠れて暮らしているらしくて、素性を明かさなかったの。
  • ハンマー とにかく、早く戻ろう。これ以上遅れたら、ソフィアがどうなってしまうかわからん。
  • スマート ふう~。本当の苦労はここから始まりそうね。
  • ジョイ ママァァ~!
  • ソフィア ジョイ! なんてこと… 大事な私の娘! ああ… 神様、感謝します!
  • イーデン 廃墟になった住宅街にスマートといたんです。そこにいた人たちのおかげで助かったんですって。
  • ジョイ ジョイはスマートと一緒だったよ。ママ。
  • ソフィア この女…許さない!
  • イーデン わぁっ! ソフィア! 落ち着いて!
  • スマート 叩かれるかもと思ったけど、実際にされそうになるとムカつくわね。私はアンタの娘を守ろうとしたのよ!
  • ソフィア ふざけないで! 他人の娘を、まだ探索も済んでいない区域に連れ込んでおいて、守ろうとしたですって!?それに、見知らぬ人々に娘の姿をさらしたの? あなたはジョイを殺そうとしたも同然よ!
  • ジョイ 違う、ママ。スマートはジョイのこと守ってくれたの。
  • ソフィア うるさい、黙ってて! ジョイは中に入ってなさい!
  • ジョイ うえ~ん… ホントなのに…。ママ~!
  • ハンマー ジョイ、俺たちはあっちで待っていた方がよさそうだ。
  • ソフィア 娘に触らないで、ハンマー! 略奪者どもには、二度と娘を触れさせないわ!
  • イーデン お願いです、ソフィア。落ち着いてください。来る途中でジョイが話してくれました。ジョイー人で住宅街に行ったのを、スマートが心配してついてきてくれたそうです。
  • ソフィア きっと、ジョイをおどしてそう言わせたんです。まったく、悪賢い女だわ…!
  • イーデン でも話が本当なら、スマートはジョイの命を救ってくれたた恩人なんですよ。責めるのはちゃんと確かめてからにしましょう。
  • ソフィア そんな必要はありません! ほら、ジョイ! 中へ入るのよ。
  • ジョイ やだ!
  • ソフィア ジョイ?
  • ジョイ ママ、嫌い! スマートと一緒にいる!
  • ソフィア ジョイ、あなた… もう知らないわ! 勝手になさい!
  • イーデン ソフィア! どこに行くんですか? ソフィア!ソフィア! ちょっと待ってください!
  • ソフィア ふう… 教えてください、イーデン。私が悪かったんでしょうか?
  • イーデン ボクたちはまだ本当のことを知りません。事実を知ってから判断しても遅くないと思うんです。
  • ソフィア 本当だとしても、それはそれで問題です。住宅街に見知らぬ人がいたと言ってたんでしょう?
  • イーデン きっと良い人たちです。砂嵐からジョイとスマートを守ってくれたんですから。
  • ソフィア イーデン… あなた… 私とジョイがどうやってニュープロテクターに捕まったか知っていますか?
  • イーデン いえ、その話は聞いてないと思います。
  • ソフィア 話してあげましょう。そうすればイーデンも、この世界に善人は存在しないということがわかるはずです。
  • イーデン はい?
  • ソフィア ジョイと私は、しばらくの間、誰とも関わることなく隠れて暮らしていたんです。ある日、ジョイが腹を空かせた余所者を見かけて、外に出て食べ物を与えたことがあったんです。
  • イーデン へぇ! ジョイが、自分からですか? 偉いですね。あとで褒めてあげなきゃ!
  • ソフィア その必要はありません。ニュープロテクター に私たちの居場所を教えたのが、その余所者だったんですから。
  • イーデン はい!?
  • ソフィア 食べ物を恵んであげたとき、あの人は確かに善良な人間でした。でも、結局は私たちを裏切ったんです。
  • イーデン どうしてそんなことを…
  • ソフィア 略奪者に掴まって怖くなったのでしょう。私たちが大量の物資を隠してるという嘘まで言ったそうです。自分の身を守るために。
  • イーデン ……
  • ソフィア 善人か悪人かは、本人の意思で決まることじゃありません。置かれた状況が決めるんです。ジョイを助けたという住宅街の人間も、いつ悪人になるかわかりません。お願い、イーデン、誰も信用しないでください!
  • イーデン ソフィア……
  • ソフィア あの女が、断りもなしにジョイを住宅街に連れ込んだことは許せません。
  • イーデン ジョイは、自分が住宅街に向かってるところに、スマートがついて来たんだと言ってました。
  • ソフィア あの臆病で気の小さいジョイが、自分から行くはずがないでしょ!わかりませんか?略奪者たちがジョイを殺そうとしたときも、私の目を盗んで連れ出したんです。あの女は信用できません。
  • イーデン スマートさんは、ニュープロテクターとは違います。ボクはスマートさんを信じます。
  • ソフィア 根拠もなく他人を信じるなと言ってるでしょう! それが破滅を招くかもしれないんですよ!
  • イーデン ……
  • ソフィア ふう。このままじゃらちが明きません。キャンプへ戻りましょう。(がっかりだわ。イーデンが私より連中を信用 していたなんて…)
  • ヘナ ちょ、ちょっと雰囲気が沈みすぎじゃないですか?
  • トム シィッ! こんなときは目立たないのが一番だぜ。ヘタすると、みんなのイライラがこっちに向かうぞ。
  • ヘナ お二人が早く仲直りできるといいですね。
  • トム ところで、ミゲルはどこだ?
  • ヘナ 中で休んでますよ。まだ砂が飛んでいるので、外にいるのは体に毒です。
  • トム オレたちはあいつらから離れていよう。ついでにデートでもしないか?
  • ヘナ イヤです。
  • トム デートってのは冗談だよ。近くを散歩でもしようってことさ。
  • ヘナ あそこを見てください、トム。
  • トム ふむ? あの家がどうかしたのか?
  • ヘナ ここにあんな家があったんですね。もしかして、誰か住んでるんでしょうか?
  • トム 空き家じゃないのか? 人が住んでるなら、あんな状態にしておくはずないだろ。
  • ヘナ ひょっとすると、イーデンさんが何かに使ってる家だったりして… イーデンさんに聞いてみましょう。
  • トム デート…じゃなくて、散歩はもう切り上げようって?
  • ヘナ ちょうどイーデンさんが来てますね。イーデンさ~ん!
  • トム ちぇっ…!
  • イーデン ヘナさん、ここで何してるんですか?
  • ヘナ イーデンさん、これって空き家ですか?
  • イーデン ええ。でもまだまだ大丈夫そうですし、何かに使おうと思ってたんです。ちょうどいい頃合いですし、さっそく取りかかることにします!
  • ヘナ …取りかかるって… 結局、何に使うんですか?
  • イーデン まずは周辺の掃除から始めます。掃除をしてると、何に使うか思いつくでしょうし。いざ掃除をしてみると、何だか魅力的に見えてきましたね。
  • ヘナ ホントですね。放っておくのはもったいない家です。
  • ハンマー ここにいたのか、イーデン。また一人で働いてるんじゃないかと思って、捜してまわったぞ。
  • イーデン いいところに来ましたね、ハンマーさん。この家の辺りを掃除していたんです。
  • ハンマー やはり何かやっていたか。この家を使うのか?
  • イーデン ええ。ハンマーさんはどう思いますか?
  • ハンマー 悪くない。俺も手伝おう。
  • イーデン やっぱり、見れば見るほど立派な家ですね。
  • ヘナ そ、そうですよね?
  • ハンマー 朽ちてない家は珍しいからな。放っておく手はない。
  • イーデン ボクもそう思います、ハンマーさん。小汚いですけど、放っておくのはもったいないですよ。とりあえず中に入って使い道を探りましょう!
  • ハンマー ああ。入ってみると何か思いつくだろうからな。
  • ソフィア 中で何をしているのかと思えば… この家、どうするんですか?
  • イーデン 何かに使おうと思ってたんです。
  • ハンマー リフォームしよう、イーデン。どんなふうにも使えるように。
  • イーデン ボクもちょうどそれを考えてました。
  • ジョイ このお家、もようがえするの?
  • ソフィア ジョイ! キャンピングカーに戻ってなさい! あなたは外出禁止よ!
  • ジョイ ううう…
  • イーデン ジョイ、いい子だよね? ソフィアはジョイのことが心配なんだよ。コッコをキャンピングカーに入れてもいいから、一緒に遊んでて。
  • ジョイ うん。わかった。シードも行こう。
  • シード ワン!ワン!
  • イーデン さて! それじゃボクらは掃除から始めましょうか。大きなゴミから片づけようっと!
  • ヘナ わたしは掃除道具を持ってきますね!
  • イーデン うわあ! ホコリだらけですよ!
  • ハンマー だいぶ長く放置されてただろうからな。
  • イーデン でも、ゴミを出したら結構広くなりましたね。
  • スマート ここに集まって何してるの?
  • イーデン あっ、スマートさん! ちょうどよかった。掃除を手伝ってください。
  • ソフィア イーデン、あの女の助けは要らないわ。… あなた、どうしてここに来たの?
  • スマート イーデン。私はキャンプに戻ることにするわ。どうやら彼女は、私にジョイと一緒にいてほしいようだから。
  • ソフィア 待ちなさい! ジョイには一歩も近づかないで! あなたもここで掃除を手伝いなさい!
  • スマート あなた… ジョイのことになると急に知能指数が下がるってこと、自覚してる?
  • ソフィア 言わせておけば!
  • イーデン は、早く家具も片づけましょう。重いから集中しないと!
  • スマート ふう。汗だくになっちゃったわ。やけに重い家具だったわね。
  • イーデン そうでしたね。ハンマーさんは大丈夫ですか?
  • ハンマー 平気だ。家具自体が重かったわけじゃない。重く思えた理由は他にある。
  • イーデン え?どういうことですか?
  • ハンマー あいつは手を添えて運ぶフリをしてだけた。また怠けると踏みつけるぞ、トム。
  • トム ぎくう!
  • イーデン アハハ。やっぱりそうだったんですね。さて!家具は片づけましたし、あとはベッドですよね?
  • ソフィア ベッドもだいぶ重くて、ホコリっぽかったですね。
  • ハンマー ミゲルがもしここにいたなら、咳が悪化してしまっただろう。
  • イーデン とにかく、掃除は一通り終わりましたね。
  • トム みんな、お疲れさん! もう休んでいいんだろ?
  • イーデン トムさん、何言ってるんですか? 仕事はここからですよ。
  • トム お前さんこそ何言ってんだ? 掃除は終わったじゃないか!
  • ハンマー 床の補修から取りかかろう。老朽化していて危険だ。
  • イーデン そうですね。ベッドを運ぶとき、ひどく軋んでましたし。
  • トム 二人だけの世界を作らないでくれるか?
  • ヘナ ボヤいてないで、これからはちゃんと手伝ってください、トムさん。
  • ハンマー よし、もう十分だ。これなら、俺が踏んづけてもビクともしないだろ。
  • イーデン リフォームは完璧ですね! 初めて見たときと違って、すっかり立派な家になりました。
  • ソフィア 良い感じですね。退避先としても使えそうですし、必要に応じて倉庫にもできそうです。
  • トム オレの寝床にも使えそうだしな。
  • スマート 看板を掲げてあげましょうか? 「ほぼ何もしなかったくせに威張ってる野郎の家」とでも書いて。
  • トム そう言うなよ。ほんの冗談じゃないか。まったく意地悪な女だな。
  • スマート とにかく、イーデン?
  • イーデン はい、スマートさん。何でしょう?
  • スマート とても大事な提案があるの。
  • イーデン そう改まって言われると、何だか怖いですね。アハハ… どういう提案ですか?
  • スマート 通信装置を作りましょう。作り方なら私が知ってるから。
  • イーデン 通信装置を? いいですよ!… でも、それって何に使うんですか?
  • スマート もしニュープロテクターにこのキャンプが見つかったら、今いる人だけで食い止めることはできないわ。
  • イーデン はい。それはそうですよね。
  • スマート 例の発信機の件もあるし、私とジョイは外の人間とも出くわしてる。いずれこのキャンプの場所は露呈するはずよ。
  • イーデン 通信装置を使って、外部の勢力と手を組もうってことですか?
  • スマート そう、そういうこと。イーデン、意外と頭いいじゃない。
  • ソフィア バカなこと言わないで! ここに部外者を引き込むつもり?
  • スマート そんなに嫌ならやめとくわ。その代わり、ここがニュープロテクターにバレたとき、今の人数で阻止できる方法があったら教えてよ。
  • ソフィア ……
  • イーデン ボクはスマートさんの意見も悪くないと思いますよ、ソフィアさん。通信装置を作らせてください。
  • ソフィア イーデン、このキャンプはあなたのものです。私に許可なんて求めなくても結構ですから。
  • イーデン そんなこと言わないでください、ソフィアさん。
  • スマート じゃ、今から作るから結論が出たら教えて。作らないって結論が出たなら、そのとき壊せばいいんだし。
  • イーデン あっ… はは。それじゃ、ボクは通信装置を載せるテーブルを作りますね!テーブルが完成しました!
  • スマート 通信装置はもう少し時間がかかりそうよ。
  • イーデン あれ… ソフィアさん?
  • ソフィア 略奪者以外の集団と交流を持つのなら賛成です。でも、慎重に進めるべきでしょう。
  • イーデン ありがとう、ソフィアさん。
  • スマート そうこなくっちゃ。今の私たちには、同盟勢力が必要なのよ。
  • ソフィア これだけは覚えてて。私、あなたから一瞬も目を離さないつもりよ。その通信装置でニュープロテクターと交信しないことね。
  • スマート お好きにどうぞ。私に惚れないようにね。
  • ソフィア 通信装置と一緒にぶっ壊されたいの?
  • イーデン ううう、ケンカはやめてくださいよ。あの、スマートさん! 他に必要なものはありませんか?
  • スマート それはおいおい考えるわ。ひとまず、通信するときに座る椅子が一つ欲しいわね…
  • イーデン あ、それなら任せてください! やっぱりボクはあれこれ悩むより、何か作ってる方が好きみたいです。どうですか? スマートさん、いい感じの椅子でしょう?
  • スマート ええ、通信装置も完成よ。テーブルに載せておいたわ。
  • イーデン わあ! 本当にすごいですね!
  • ハンマー 通信装置か…。分かってるのか? スマート。それで外部と連絡を取り始めれば…
  • スマート 分かってるわ。その分、ニュープロテクターにここの位置を知られるのも早まるでしょうね。
  • ソフィア 何ですって? 余計に危険が増すってことじゃないの?
  • スマート だから、むやみに情報を与えてはいけないの。安全と判断できるグループにだけ情報を共有しないと。
  • ハンマー 俺よりも、お前の方が元軍人みたいだな。
  • スマート イーデン、通信中に位置の確認ができるよう、壁に地図を貼るのはどうかしら?
  • イーデン はい、スマートさん。任せてください!
  • スマート ふう、これで楽に位置の確認ができそうだわ。
  • イーデン ここに座って色んな人とお話ができると思うと、ワクワクしてきますね。もしかすると…これを使ってリアムの消息も掴めるんじゃないでしょうか?
  • ソフィア そうできることを祈っています。
  • スマート まずは、ちゃんと動くのか確かめましょう。
  • ハンマー バッテリーはちゃんとつながってる。
  • イーデン いいですね! では始めましょう!もしもし?
  • スマート ……
  • イーデン あーあー! 聞こえますか? もしも~し!
  • スマート イーデン。通信装置を使うには、まず周波数を合わせる必要があるのよ。
  • イーデン えっ!何か操作が必要なんですね?
  • スマート とりあえず、私が適当に合わせてみるわ。
  • ハンマー ニュープロテクターとつながらないように気をつけろ。
  • スマート 怖いこと言わないで! 手先がくるうじゃないの!
  • イーデン もしかして故障じゃないでしょうか?
  • スマート ちょっと静かに! 何か聞こえる気がするわ。
  • ?? ーディッ… チッ! シグナル受信! ――デッ! こちら、ロックンロール! そちら の素性を明かせ! ヂヂッーー
  • イーデン ボクにも聞こえました! ロックンロールという人につながったみたいです!
  • ハンマー 人じゃないんだ、イーデン。昔、聞いたことがある。流浪の商人たちが作ったグループの名前だったはずだ。
  • スマート 私も聞いたことがあるわ。アジトはだいぶ遠いところのはずでしょ? よくつながったわね。
  • イーデン スマートさん、これからどうしましょう?
  • スマート 対話を試みましょう。
  • ソフィア 妙なことをしたらタダじゃおかないわよ。
  • スマート そうね。ちゃんと見張ってなさい。よそ見すると、妙なことをしてやるんだから。
  • ソフィア どこまでもイケ好かない女ね。
  • スマート ロックンロール! 聞こえるか? こちらは…ニュープロテクターだ。
  • ソフィア 何っ?
  • ハンマー スマート、どういうことだ!?
  • スマート …通信が途絶えたわ。これで、ロックンロールはニュープロテクターのことが嫌いだと分かったわね。
  • イーデン ふう~。びっくりしましたけど、なるほど…今のは、相手を試したんですね。
  • スマート あとは、もう一度受信してくれることを願うだけよ。ロックンロール! 応答せよ! こちらはニュープロテクターではない。繰り返す。われわれはニュープロテクターではない。
  • ロックンロール ―――ヂヂッ! こちらはロックンロール!ーーヂッ! 確認が完了した。あなたの周波数はニュープロテクターのものじゃーーヂヂッ! ない。
  • スマート ロックンロールとの交流を希望する。
  • ソフィア 危ないかもしれないけど… 急ぎすぎじゃない?
  • スマート こちらの情報をすぐに漏らしたりはしないから安心して。まずはコミュニケーションを取ることからよ。
  • イーデン こうして見知らぬ人と話せるなんて、不思議ですね。
  • ヘナ ほ、本当にそうですね。
  • スマート しぃっ。先方が何か言ってるわ。
  • ロックンロール ――デッ! そちらの場所が知りたい。ーーヂ ヂッ!貴重品を持っているなら取引をしよ う。ーーヂッ!
  • トム こっちには貴重な人材、トーマス医師がおられるぞ!
  • スマート ハンマー! そいつの口を塞いで!
  • ハンマー 言われなくても、もう塞いでる。最初からこうしておくべきだったな。油断してた。
  • イーデン ここの場所って、どう説明すればいいんでしょう?
  • ソフィア 絶対に教えてはいけません!
  • スマート その通りよ。今はまだ場所を教える時期じゃないわ。何度も会話をして、安全な相手だと確信できるまではね。
  • イーデン あ… そうなんですね。
  • スマート ロックンロール! こちらの位置と物資についてはいずれ教える。たびたび連絡してもよいか?
  • ロックンロール ――ヂヂッ! もちろんだ! ヂヂッ! この通信は取引のために使用している。――ヂッ! 必要なものがあればいつでも伝えてくれ!
  • スマート 了解した、ロックンロール! 以上、通信終わり!上出来ね。ひとまず成功と言えるんじゃないかしら。
  • イーデン ふう~みなさん、お疲れ様でした。そろそろ休みたいですね。
  • スマート 同感。私も大の字で眠りたい気分よ。
  • ソフィア ……
  • イーデン ふあああ~!眠たい! ジョイを捜すのに気力を全部使っちゃったみたい。
  • シード ワン!ワン!
  • イーデン わかってるよ、シード。キミが真っ先に見つけてくれたんだよね。本当にご苦労様。
  • シード ハッハッハッ〜。
  • ソフィア イーデン、今日は本当に助かりました。
  • イーデン アハハ… とんでもありません、ソフィア。ボクは何も…通信装置ができたんですから、これからもっと人が集まりますよね? 想像しただけでワクワクします。
  • ソフィア ええ…
  • イーデン ジョイは今どこですか?
  • ソフィア 眠っています。住宅街の一件で疲れてしまったんでしょう。
  • イーデン アハハ。そりゃ疲れますよね。ボクもドッと疲れました。
  • ソフィア もう休んでください、イーデン。私もそうしますから。
  • イーデン はい、ソフィア! おやすみなさい! 今日は大変でしたけど、明日は楽しいことがいっぱいのはずです! そう信じましょう!
  • ソフィア はい…(さっきあれだけ言ったのに、まるで通じてないじゃないの。人数が増えるほど危険も増すというのに…)
  • ?? ハンマーとスマートの信号が途絶えて、もうだいぶ経っている。なぜここまで報告が遅れたんだ?
  • ?? 申し訳ございません、コマンダー。車の回収に向かうほうが、損害が大きそうでしたので
  • コマンダー 車?まさか、あの廃車を回収するために追跡装置を仕掛けるよう指示したと思ってるのか?
  • ?? と、おっしゃいますと…
  • コマンダー 言ったはずだ。随時信号を確認し、動きが止まり次第、ただちに追跡して決着をつけろと。
  • ?? も、申し訳ございません。
  • コマンダー ハンマーは、今始末すれば一部の反感を買っ てしまうほどに長く務めた構成員だ。その意味が分かるか?
  • ?? はい?
  • コマンダー この基地の情報を多く知っているということだ。しかも、同行していたスマートは頭が切れる。もう分かったか?
  • ?? よ、よく… 分かりません。
  • コマンダー その二人を生かしておけば、ニュープロテクターの脅威となる情報が他の勢力に渡るかもしれんということ だ。とっとと二人を見つけ出して、引導を渡せ!
  • ?? で、ですが…その辺りは、危険すぎる地域でして…
  • コマンダー お前らも廃車に乗せてほしいのか?
  • ?? い、いいえ! ただちに出発いたします、コマンダー!

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